十人十色の十恋物語<短編集>
「 最近ね、
うーん、ここ2ヶ月くらい前からかな?
誰かに見られてる気がするんだよね。 」


今大学で友達になった、
麻美ちゃんに呟いていた。


「 そういえば、
栞楠を見かけるとさぁ、
憲房くんも見かけることが多いなぁ。
それかなぁ? 」


憲房くんかぁ、
同じ高校で大学も一緒になった。

高校から一緒なんだよ、
前から知ってるのに…
見られてる気がするのは最近なんだけどなぁ。


「 麻美ちゃん、ありがとう。
気を付けてみるよ。 」


あんなこと言われたら憲房くんの気配を感じるだけでドキッとしてしまう。


「 東雲さん、
聞いてもいいですか? 」


さっきの麻美ちゃんの言葉があったからか、
へんな緊張するよ。


「 けっ、憲房くん何かな? 」


顔がひきつってしまうけど、とにかく笑ってみた。


「 体調悪いですか?
顔色悪いけど…。 」


「 うんちょっとね。
でも大丈夫ですよ。
で、聞きたいことって? 」


憲房くんとさっきの講義について話をした。

やっぱりこの人は、
私をずっと見ている人ではないのでは?

そんなに見ていたら、
私の前に座って講義について熱く語れないよね?
たぶん…。


だから、
麻美ちゃんの言葉で憲房くんを疑ってしまった自分に反省していた。
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