真紅の世界


力の限り叫んでいるつもりだったけれど、口から出たのはとても弱々しい声。
それでも、甲冑に隠れている目から視線を反らすことなく威嚇した。


こんなフラフラで剣を突きつけていても、目の前の人にはどうってことないんだろ思う。


その証拠に、相手がまた一歩詰め寄って私たちに近づいてくる。

痛む左手を右手に添えて構える。

それ以上近づいたら、本当に切りつけるつもりだった。

精一杯の拒絶を込めて、もう一度できる限りの大声で「近づかないでッ!」と叫んだ瞬間、私とレティの周りが眩しいほどの光で覆われた。

そして、その光を目にしたとき、私は意識を手放した。
















その光は、さっきレティが見せてくれた光に似ていて、でもそれよりも眩しくて強い光だった。




私はただのしがない女子高生で、剣道しか能のない普通の女で。

だからこの光は、レティの魔法だと思った。



意識が遠のく中、レティに守られてしまったんだ、と自分のふがいなさを嘆きながら。


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