愛しき・愛しき人[誤字修正]
それからというもの、私も課長もあの夜のことは触れることもなかった。

それから、半年…一年…

時間は流れ、あの時課長の自宅に行ったことも忘れていた・・・

仕事も充実していたし、課内も本当に活気づいていた。


そんな4月の月曜日…

会社全体の朝礼が始まった。


社長のあいさつが終わって、そのあと、本年度の人事異動の話がある。

もちろん、役職がある人のみの発表で、末端の人事は紙が掲示されるだけ。


「本年度、新たに、取締役に就任した人を紹介します。
 
 鳴海和俊専務取締役です…

 一言ご挨拶を・・・」


もちろん周りはびっくりマークはたくさんだ。

高橋課長が鳴海専務???


「このたび専務取締役に就任いたしました、鳴海です、
 
 営業課長として今日まで勤めてまいりました。

 氏名に関してですが、鳴海からご理解いただけるかと思いますが、

 私の父はここにいる鳴海社長です。

 仕事をするうえで、鳴海の名前が重たく感じ、

 高橋という祖母の氏名を名乗らせていただいておりました。

 その点に関しましては、深くお詫び申し上げます。

 これからも、私は営業部とも兼任になりますので、よろしくお願いしま  す。」


私たち、営業部員は言葉を失ったような気がした…

< 33 / 77 >

この作品をシェア

pagetop