お嬢と使用人
人見知りをしない私はすぐに打ち解け、夏休みのあとわずかな日数を楽しく過ごした。
婚約者っていうよりも、お兄ちゃんって感じで。
将大くんは、料理だけでなく勉強もできたから、宿題を見てもらってたりもした。
今日も宿題以外の勉強を見てもらっていると、将大くんが呟いた。
「そういえば、転校の手続き……」
「え?」
「こっちの高校に通うことになるんでしょ?」
……忘れてた。
夏休み中ってこともあって、おばあちゃんとこに遊びにきた感覚だったけど、私……
おばあちゃんの養子になったんだっけ。
てか、宿題した意味なーい!
おばあちゃんは私が来たことで安心して出掛けられるのか、旅行だのハイキングだの……
遊んでばっかでほとんど家にいなかった。
もちろん、今日もその類いで出掛けている。
だから話す機会なんてほとんどなくて、
「なにも聞いてないよ……」
と、将大くんに泣きついてみる。