ランデヴー II
そして紗英ちゃんにも……きっと彼女なりの思いや理由があるのだろう、と。


そう思えば、多少の不愉快や苛立ちも飲み込めるものだ。



事実週が明けると、紗英ちゃんは出社早々私に謝ってきた。


「私のことを考えてしてくれたことなのに、あんな言い方をしてごめんなさい」、と。


「新しい仕事を頑張っていきたい」、と。



少し時間を置いたことで、紗英ちゃんも冷静になれたのかもしれない。


でも……考え直してくれたことは良かったと思うが、私は彼女への嫌悪感を完全に拭い去ることはできなかった。



上手に距離を置きながら付き合っていくしかない。


私が紗英ちゃんの気持ちのほんの1部を垣間見ることになったのは、彼女に対してそんな風に思っていた時のことだ。
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