ランデヴー II
「好きだよ……?」


思わず、口にしていた。


1度も言えずにいる言葉。


あんなにも愛情を向けてくれた倉橋君と私の想いは、結局交わることはなかった。



でも……好き、大好き。


言いたくても言えなくて、今もずっと胸に秘めている気持ち。


口に出すと無理矢理閉じ込めていた想いが洪水のように溢れ出し、涙が頬を伝った。


こんなにも近くにいるのに、私と倉橋君の距離は遠い。



「うぅっ、ふ……っ、倉橋く……」


どうしよう、涙が止まらない。


気持ちが止まらない。


両手で頬を拭いながら、嗚咽を堪える。



彼の傍にいたい。


彼の悲しみを、苦しみを、一緒に受け止めたい。


そう強く願えば願う程、苦しいだけだってわかっているのに。
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