ランデヴー II
私も彼のその気持ちを尊重し、できるだけ一緒にいたいと思った。


だから今日は倉橋君と一緒に、ここに来た。



「これ、坂下さんがくれたんだよ。綺麗でしょう?」


そう言いながらお祖母ちゃんにお見舞いの花を見せる倉橋君は、笑顔だ。


お祖母ちゃんの前では絶対に泣かないと、さっきここに来る間に話していたのを思い出す。



だから私はそんな彼に言った。


私の前では、泣きたい気持ちを我慢しないで欲しいと。


倉橋君が辛い時に、その想いを一緒に背負える存在でありたいと思うから。



すると彼は照れたように笑って、言った。


「有難う」、と。


そのはにかんだ笑みは、今も私の胸に鮮明に残っている。



私達はしばらく3人で取り留めのない話をした。


お祖母ちゃんは時々反応をするくらいで、話の内容も良くわかってないかもしれないけど、倉橋君と私はずっと笑っていた。


お祖母ちゃんが不安にならないように。


幸せな時間を過ごしてもらう為に。
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