ハーレム ブラッド2
「断わる。」

「な!?」

朱鳥が振りほどこうとするがビクともしない。


「言い逃げはズルいだろ?

それに…どうせ、このまま行かせたらしばらくは俺のことを避けるし。」

幸大が言う。

「うっ…

わ、私は…

そ、そうよ!!

私は吸血鬼が嫌いなの!

だから…そんな眼で見ないで!!」

幸大の金色の瞳から目を逸らす。

「これも…俺だ。

俺が吸血鬼だと知った上でなお…好きだと言ってくれたんじゃないのか?」

幸大が言う。

「うっさい!!

私は…やっぱり、あんたなんか…きら…」


ぎゅっ。

幸大が急に朱鳥を抱き締める。

「いっ!?」

朱鳥が固まる。

「あ…あう、あう…」

朱鳥が顔を耳まで真っ赤にして口をパクパクさせる。


「朱鳥…」

幸大が朱鳥に顔を近づける。

「んっ…」

唇に触れ合った瞬間に一度朱鳥が驚いたが、静かに目を閉じる。

触れるだけのキス。

それが長時間続いた。


「3分経過ですね。」

咲子が言う。


「どーん!!」

クーニャがそう言いながら朱鳥を押し退ける。


「きゃっ!?」

「幸大君…君はよくも人前でこれほどいちゃつけるモノだな…」

華乃が眼鏡をクイッと上げてレンズを光らせる。

「幸大君…わ、私もしてほしーな…」

優衣が唇に人差し指を当てながら物欲しげに言う。
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