お仕置きゲーム。
「何言ってるの侑里乃。」
俺は思わず目を見開いた。あのチビ、今、なんて?(...侑里乃ちゃん?)「ほら、変な事言ってないで帰るわよ。」「え、で、でも、真咲ちゃん2人いるもん。お姉ちゃんは見えるよね!?」突然話をふられた智香は目を見開き、首を左右にふって否定した。
「あのチビもイカれてんのか?」
誰にも聞こえない声で呟く。(違う、)「?」(あの子、マサキを見てるんじゃない。)「は?」(私を、見てる。)マサキの中にいる、私を真っ直ぐ見てる。震える声で呟いた真咲。んなわけねェだろ、と言えば真咲は(いや、)と侑里乃を拒絶する。「真咲?」
(マサキ、怖いよ、こわい)「真咲?」「侑里乃!」侑里乃はまるい、大きな目をキラキラと輝かせてオバサンの声を無視して俺の元に駆け寄ってくる。
「真咲ちゃん、どうして2人いるの?ねぇ、どうして?なんでその体に2人いるの?」「ッ...」「侑里乃!!」オバサンは侑里乃の手を強くひき、「変な事言ってないで帰るわよ!」と怒鳴り、俺に謝罪すると慌てて病室を出て行った。
病室に、沈黙が落ちる。ドッドッドッド。鼓動が早い。俺のナカの真咲が焦っている。(マサキ)「真咲、大丈夫か?」(お願い。)「ん?」(侑里乃ちゃんに、近づかないで。怖いの。)「...ああ、お前がそういうなら、近づかないよ。」(有難う、好きだよマサキ。)「うん、俺も好きだよ。」
どうしてここまで真咲が怯えるのかわからないが、真咲が近づくなというのなら近づかない。侑里乃が真咲を傷つけようとするなら、お仕置きすればいい。
未だに向かいのベッドの上で震えている智香を無表情で見る。「ヒ、」何故か智香は悲鳴をあげた。まだ、何もしてないのに。俺はベッドから降り、おびえているそいつの元に歩み寄る。
「ま、真咲、」「...。」「私、ッ、あなたを支え(マサキ言わせないで)脳内に響いた声。俺は一瞬で智香の口を手で塞ぐと、そのまま押し倒す。身動きがとれないように馬乗りになり片手で両腕を頭上で拘束した。
(智香は、マサキが好きなの?それとも真咲?)
「...智香は、俺が好きなの?それとも、真咲?」
塞いでいた手を離し、優しく問いかける。
「、え?」「どっち?」「私、真咲しか、知らなッ、「俺の真咲が好きってこと?」「真咲、何、言ってるの?ねえ、どうしちゃったの?昔の...ううん、昨日までの真咲は何所にいっちゃったの!?」(智香にとって、私は何?)「智香にとって、真咲は何?」「っ、」「答えろよ。」
話が噛みあわないことに焦っているのだろう。何を言ったらいいのかわからず、智香は冷や汗を流している。少し間をあけて、智香はおそるおそる口を開いた。
「...ま、真咲は、私のしんゆうよ。」