キスの相手はあなただけっ!!



『新入生入場。』

いよいよいまから入学式が始まる。
入学式に出席するのは
中3だけ。
中2は休みらしい。
でも外で部活開始を待っている奴もいる。
俺は体育館に足を踏み入れた。
すると
小学校とは違う感覚が
俺の気持ちをドキドキさせた。
今日から中学生。
楽しみがこみあげてきた。

『学校長式辞。』

校長先生の長い話。
でもその言葉1つ1つに
思いが込められていて
なんだか
しんみりときた。
でもさすがは校長。
長い!長すぎる!
頼むから早く終わってくれ!
俺は目を右や左に動かした。
すると入り口があいていて
その隙間から人がみえた。
時澤・・・。
なんでいるんだろう。
今日は2年はこないはず。
あ!
部活待ちか!
最悪。
退場したときに
会うじゃん・・・。
俺はじっと見つめていた。
なんだか時澤は
キラキラと輝いていて
笑顔がかわいかった。
そんなのんきなことを考えていると
ばちっ
と時澤と目があった。
いつもなら笑顔を向けてくれる時澤。
でも今日はすぐに目をそらした。
最悪。
これだけじゃなかった。
時澤の隣に小学校の時
同じ登校班だった班長が見えた。

「どうしたの?」

と班長は時澤に聞いた。
すると時澤は

「ううん。なんでもない。」

とその隙間から
消えていった。
俺は頭が真っ白になった。
まだ校長の話が続いていた。
俺は校長の話を
耳にしていなかった。
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