生意気なハケン君
その様子を眺める私……。






――何よ、嬉しそうに。







女性の部下と楽しそうに話しながら酒を飲む神城を見た途端、


胸の根底にあるものが突然モヤモヤした。





そのモヤモヤが何かわからず、
必死にその原因を頭で理解しようとする。





だが周りの賑やかとこの置かれている状況では、



冷静に物事を考える事など出来るはずもない。








ただ一つだけわかることは……!






「――おぉ!いい飲みっぷりです課長!」





酌をした部下の大きな声に、
周りはその先に目を向けた。




もちろん神城も目を丸くして見つめている。






そして空になったグラスを、私はテーブルに勢いよく置いた。








――何か、苛々する…!




「今日はとことん飲んでやるわよっ!」

「かちょ~!カッコいい~っ!」





へべれけになった部下達が私を褒め讃えると、

再び空のグラスにビールをこぼれるぐらい注いでくる。




私はそのグラスをそのまま口に運び、無心のまま一気飲みをした。






酒の力を借りて、



このモヤモヤ感を吹き飛ばす。







それは私の中で一番手っ取り早くて、


一番合理的な逃げ方だった。
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