彼はくせっ毛君

えっと…次…


次の障子に手をかけようとした。





「ウチで何してんのアンタ。」






…………!!!!!



…サーー…。

血の気が引いた。



…………だ、だだだ誰?


怖くて振り向けない。


ドスのきいた女の人の声だった。



……え。今回も言い訳しようがないよ…





どうするの美凪…






ここは正直に「槙斗君探してました」って言うべき?



……あー!!!本当…
えー!!?





「何してんだいって聞いてるんだよ!!」



「はいーー!!!」



わーん!!!!!
…泣いちゃいそーー!!!
怖いよーー!!!




「うぅっ…ごめんなさっ…―」



「あ、美凪ちゃんいたー」



「い…?」




この声は…

……………


槙斗…君。





どこに行ってたのーー!!!!泣



「ん?槙斗誰だい、この小娘は」


小娘…



「あーお袋いたの。隣の中坂高の娘だよ。田沼 美凪ちゃん」





“田沼 美凪ちゃん”





槙斗君が…
フルネームで覚えててくれた。



………

ごめんなさい。

この状況でも…嬉しくて笑ってしまいそう…。



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