猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した


今回の件が正にそれだった。

バルギルド国。
王の決定が選ばれた10人の戦いによって決められるという、聞くからにしての武力尊重国家が、此度、同盟を申し込んできた。


強者が強者同士で組み、敵なしとしようとなればまた考えるが、同盟を結ぶ際に決められる条約がどう見積もっても“こちらより”なのだ。

幾ばくかバルギルド国が得をし、敵なしとなるのはいいが、下手に出すぎている。


まだきちんとした対談は行われていないにしろ、取り決めに穴などないと軍上層部では利益ある同盟と浮き足立ってもいた。


ただし、やはり念入りな性格の輩は『上手くできすぎている』と首を縦には振らないのだ。


だからこそ、今の今までバルギルド国に軍の重鎮が赴いたこともなく、話は伸び伸びとなっていたが。


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