猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した


「私、足止めしてしまって……」


かしこまるミカエルはエレナにとっては扱いづらいものだった。この手の人は気にしないでと言っても余計に気にするとは定石だ。適当に相づち打てばいいかなーと思えば、もう一人の見送り人が口を挟む。


「ミーちゃん真面目だなー。別にいいのに。いっそさ、このまま駆け落ちとかしちゃえば?」


「そ、そんな……。変なこと言わないでください、レイン中佐っ」


「ミーちゃんが駆け落ちした後に、俺がエレナちゃんの相手するからさー」


「面白いですけどー、これは一応任務なんで、駆け落ちするなら帰ってきてからにしてくださいー」


似た者同士に茶化されるミカエルがあわあわしつつも、ルカが何も言わずに馬車に乗った。


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