猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した
だからこそ、確実な決定打が欲しく網を張った。殺しのエキスパートなら、目標の抹殺が第一条件に来る。一人となった時にすべきこととなれば、相討ち覚悟で暗殺対象に向かうだろう。
それがエレナに殺意を置いていた。決定打もあった以上、こいつらの狙いはエレナであり、誰が差し向けたのかはこれから知るところだ。
「言いなよ」
忘れることがない死に損ないにして生き残りの暗殺者にエレナは問う。
顔を隠していた布から出た口がパクパクと動き、声を絞りだそうとするも、やはり躊躇う。
仕事理念だけはあるようで、依頼主のプライバシーは守られているようだった。
このまま答えなければ出血死となる。肩の傷もそうだが、切られた腕の断面から血が湧いてくる。今や、エレナたちの周りは無色ではなく赤に染め上げられていた。