さくら色 〜好きです、先輩〜

先輩は満面に笑みを浮かべながら「笑い過ぎだろ〜」と私の頭を軽く小突いた。

私達の間にはほんわかした和やかな空気が流れ始めた。

それはミルクココアのように。

甘くて、ほっとして、暖かい。

そんな一時。


「昼過ぎちゃったけど、なんか食べに行く?」

「はい!」


それから私達は遅い昼食を食べて帰路に着いた。


ーーーーーーー・・・


私は広場のベンチに腰を下ろし空を見上げた。

昨日の台風が嘘のように今日の空は真っ青で風が気持ちいい。


暴風で散った木の葉が遊歩道に模様を描き、所々に水溜りが出来ている。

そんな中、幸いにもサッカー広場は特に目立った被害はなく練習には何の支障もなさそうだった。



昨日は学校で里美と那奈から質問攻めになったけど何とか逃げ切った。

二人には報告したい。

だけど土曜日のことを思い出すと頭がぼーっとして何も手に付かなくなる。

体温が一気に上昇して。

掴まれた手首はジリジリと熱を帯びて…


もう少し気持ちが落ち着いたら、二人にはちゃんと報告しよう。





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