さくら色 〜好きです、先輩〜

「ははは!そっか。不安にさせてごめんな」


目を細め優しく笑った先輩は、「避けたりしてねぇから、そんな不安そうな顔すんな」と私の頭をポンッと撫でた。


「…っ…」


先輩…不意打ちはホントに反則だよ…

準備してなかった心臓は、キュンッと締め付けられて苦しい…

だけどそれは苦痛ではなくて。

幸せの痛み。



「先輩。今まで練習に付き合ってくれてありがとうございました。この三週間ホントに楽しかったです」

「俺も楽しかったよ。久しぶりにたくさん笑った…ありがとな」


今日の先輩はいつもと違う。

高校での先輩はどこか寂しさが混じった表情をしていたけど。

今日は中学の頃と同じ…

暖かくて、優しくて、眩しくて、魅力的な。

人を惹きつける笑顔をしている。


「先輩!私と賭けをしませんか?」

「賭け?」

「サッカー部の入部を賭けて…うちのクラスが優勝したらサッカー部に入部して下さい」

「…負けたら?」

「…もし負けたら先輩の言う通りにします」



< 159 / 499 >

この作品をシェア

pagetop