さくら色 〜好きです、先輩〜
夜遅くまで練習した日々のことや子供達のサッカーの試合を観に行ったこと、そして先輩へのたくさんの想いが溢れて涙が頬を伝った。
この数週間、ホントに夢を見ているのかと思うぐらい幸せだった。
だけどあの幸せな日々はもう戻って来ないかもしれないんだ。
私は地面に座ったまま立てないでいた。
すると俯いてる私の前に細長い指をした大きな手が差し出された。
ゆっくり顔を上げると、そこには柔らかく微笑みながら私を見つめる先輩。
その笑顔は太陽の逆光と目に溜まった涙でぼやけて見えた。
「せ…んぱい?」
「ほら!」
そう言って、先輩は私の手を掴み立たせるように手を引いた。
「葵、私先に皆のとこ戻ってるね」
那奈は先輩に会釈をして走って行った。