さくら色 〜好きです、先輩〜
そして試合は動くことのないまま終わった。
恭介は約束通り、応援に来ていた保健の藤田先生とすぐに病院に向かった。
試合を終えた選手はひどく体力を消耗していて、傷だらけだった。
中には悔しくて涙を流す人もいて、どれだけ辛い試合だったのか皆を見れば一目瞭然だった…
私は皆のそんな姿を見ていられなくて、その場を離れ女子トイレに向かった。
そこのトイレの周りには備品室や会議室ばかりで人通りが少ない。
自分の足音だけが廊下に響いく。
「葵ちゃん!」
私を追い掛けてきたのは若菜先輩だった。
「大丈夫?具合悪い?」
若菜先輩は心配そうな表情で私の顔を覗き込む。
私は唇を噛み締めて、首を横に振った。
「…若菜先輩。私…悔しいです…」
「葵ちゃん…」
堪えていた涙が頬を伝う。
拭っても拭っても溢れる涙がジャージにシミを作って行く。