さくら色 〜好きです、先輩〜

昨日の夜、先輩のことを考えてたらいつの間にか外が明るくなっていた。

目の下には隈が出来て、少し眩暈もする。


先輩に言われた事が頭から離れない。


“…っ、俺らしくないって何だよ”

“何も知らねぇくせに口出すんじゃねえよ!”


先輩の言う通り。

私は先輩に何があったのか知らない。


ううん…それだけじゃない。

私が知ってる先輩はほんの一部であって、殆ど何も知らないに等しい。


私が知ってる先輩って…?

サッカーをして、いつもキラキラ輝いてて、皆に囲まれて…


でも先輩にだって、笑えない日もスランプで練習したくない日も一人になりたい日だってある。

なのに私は、知った風なこと言って…


「はぁ…」

「ため息、今ので10回目。何かあった?」

「…実はね」


私は里美に昨日のことを話した。



「私、最低だよね…何も知らないくせに」

「……」

「里美?」


里美は眉を顰め、悲しそうな表情でゆっくりと口を開いた。



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