さくら色 〜好きです、先輩〜
数分後、先輩はピッチに戻ってきた。
応援席からは大歓声が沸き起こり、先輩はその歓声に答えるように拳を上げた。
私は先輩が走ってる姿を見て、胸を撫で下ろす。
気付くと指先の体温も周りの声も戻ってきていた。
先輩はその後すぐに夏樹さんに近寄って背中をポンっと軽く叩いた。
何を話したのかわからないけど、先輩の表情は穏やかだった。
夏樹さんはさっきまでの荒い動きから一転して勢いが無くなった。
延長戦前半はあっという間に終わり、後半は休憩を挟む事なく始まった。