さくら色 〜好きです、先輩〜

「大人になったな…そりゃそうか。小学生の時以来だしな」

「私も驚いた。まさか慎ちゃんが高校教師になってるなんて」


こうやって傍から見てると、お似合いのカップルに見える。

それほど二人を纏う空気は穏やかで、長い間離れていたようには思えなかった。


私は邪魔にならないように少し離れたところでコンクリートの地面に横たわった。


視界一面には透き通った青い空が広がり、白い飛行機雲が綺麗に描かれていく。

那奈と先生の思い出話と校庭ではしゃぐ生徒の声を聞きながら、さっきの先輩との会話を思い出した。


“もう、サッカーはやめたんだ”


私は大きな勘違いをしていた。

信頼し合った昔の仲間なら先輩も自信を取り戻して以前のように楽しくサッカーが出来ると思ってた。

だけど、先輩の心の傷はもっともっと深かった。

あんなに仲の良かった昔の仲間でさえも…

違う…凄く仲が良くて信じていたからこそ、また裏切られるんじゃないかって怖いんだ。


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