時は今
「…ちょっとごめん。メールしてみる」
四季は携帯を取り出すと忍に短いメールを送った。
『由貴の家にいるよ。元気だから心配しないで』
携帯をしまい、由貴の問いに答え返す。
「同じ家に住んでいると言っても、僕の場合はお父さんもお母さんも妹も一緒の家だから。忍は表向き養子の扱いになっているし、同棲とは少し感覚が違うと思う。部屋も別々だし。でも何か楽しいよ」
「…そっか」
由貴は味噌汁の味を見て火を止めた。
「由貴くんも涼ちゃんと住んでみたい?」
隆史が突っ込んでみると、由貴は考えて首を振った。
「ん…。今はいい」
「え?何で?」
「好き過ぎて理性きかなくなったら困るから」
由貴の言い様に、隆史は何とも言葉を返し難い顔になる。四季が苦笑した。
「由貴は涼ちゃんに弱いよね」
「四季、理性きかなくなることってない?」
「んー…。たまにあるけど本気でそうなると忍が困ると思うから、とめてって言ってる。僕の場合まだ免疫機能も心配あるし、僕も困るし。でもたぶん僕ってあまりそういう欲求は強くない」
そこで四季は隆史を見た。
「…隆史おじさんは?高校生の頃はどうしてたの?」
四季の問いは由貴にも興味がある内容だったのか、由貴も隆史の顔を見た。
「──それを聞きますか」
隆史は咳払いをして、目は宙をさ迷った。
「そうですねぇ…。由真ちゃんは心臓に疾患があるって判ってたからね。それなりの覚悟がないと手は出せませんでしたね。家を出たのは由真ちゃんのそばに少しでも長くいたかったからなんですよ。僕は結婚するのは大学卒業してからって思ってたんですけど、由真ちゃんが『私が大丈夫なうちに結婚しよう』って言うものだから。早く子供が欲しいって」
「……。じゃあ、早くに俺が生まれてるのってそのせい?」
「ですね。そうでもなければ、僕が手に職もない大学生の身分で結婚なんか出来ません」