【 側にいるよと笑うから 】
「俺はずっとその最低野郎だと思われて、あんなに嫌われてたってことか?」
「え――?!うん。そうみたい。」
まさかの展開に成す術がなく、とりあえず杉本の前に正座してみる。
あれ?でも同姓同名?
「あんた杉本慧だよね?」
「だから違うって言ってんだろ。俺は杉本涼だ。」
名前すらも違ってました。
もうどうにでもなればいいや。
一気に脱力感が襲いかかってきた。ぐしゃりと倒れ込む。ちらりと視線を上げてみれば、困ったような表情の杉本が、膝に肘をつきながら見てきた。
「...ごめん。勘違いだったからって、ずっとあんたには嫌な思いさせた。」