三日月の下、君に恋した
航に連絡できないまま、二週間が過ぎた。
その間、社内で彼と会うことはなく、逃げるような気持ちで先延ばしにしてきたけれど、今日は、彼と顔を合わさないわけにはいかない。
営業企画部が主催する創業六十周年のプロモーション会議に、菜生と美也子が通販課を代表して出席することになったのだ。
主任の谷川恭子から会議に出席するよう言い渡されたのは、二日前だ。
「何だか知らないけど、今回はうちもオリジナルのグラビアページを用意することになったらしいのよ。いつもみたいに使い回しでいいって言ったんだけどね、梶専務が……」
文句を言いかけて、恭子はごにょごにょと口ごもる。
「会議はあさってなんだけど、私も課長も明日から出張でいないのよ。部長は重要な会議があって、そっちに顔出さなきゃいけないし。何せ急に決まったもんだから」
また、ぶつくさ言いそうになって「困っちゃうわよね」とごまかす。
「それで、沖原さんと城ノ内さんに代わりに出席してほしいの。資料さえもらってきてくれれば、それでいいから。あと適当に話を聞いてたらいいから。お願いね」
忙しそうに立ち去りかけて、「あ、そうそう」と振り返る。
「葛城リョウも来るらしいわよ。なんで会議に出る必要があるのかしら? まあとにかく、よろしくね」