存在認定恋愛論

・葛side




・葛side

「…はぁ」

目の前で散乱したプリントに
俺は、ため息を溢す。


五月蝿い女子生徒に絡まれて
意識のベクトルが
女子生徒を追い払う方に向いた瞬間


…バサッ


注意散漫。
プリントは重力のままに
夕日の射し込む廊下に散らばった

手伝うと言い出した原因の生徒を
追い払ってから
指から血が出ていることに気がつく


「…、しょうがねぇな」

プリントを拾う前に
血を流すためにその場を離れた



この学校に社会学担当として
赴任してから、もう2年になる。

そんな事を考えながら
手洗い場で血を流していると…
誰かが来た。


「あ、葛先生」
「……九条、姉の方か。」

現れたのは、部活中らしい
体操着姿の九条 あげは。

校内では有名な双子の“蝶”の方


九条 あげは。
九条 なぎさ。


天才肌な姉と凡人な妹
学校内じゃ
“蝶”と“さなぎ”とか呼ばれてる


「怪我したんですか?」
「…ああ、」



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