存在認定恋愛論
先生の真剣な表情が
赤い夕日に照らされてる。
…グラウンドの声援や掛け声が
遠く感じた
「お前が“さなぎ”かどうかは
俺が決める」
胸の奥で、潰した筈の感情が
また…現れようとしていた
「ありがとうございます、」
「……。」
うつむいて、
小さく先生にお礼を告げれば
先生は聞こえないフリをしながら
優しく…私の頭を撫でてくれた。
「俺がお前を認めてやる。」
“蝶”に憧れていた
皆に存在を認めてもらえるあげは
私も…“蝶”になりたかった。
“さなぎ”から“蝶”に…─
先生の手に拾ったプリントを渡す
同時にプレゼントを受け取り
私は踵を返した。
宮本先生の授業がない私は、
もう先生に関わらないだろう
確か…あげはは持たれていた筈。
でも、今日は嬉しかった
一時の言葉でも。
「なぎさ!」
先生に背後から呼ばれて振り返る
目の前に飛んできた何かを
片手で慌ててキャッチすれば
それはチョコレート。
「またな」