初めては幼なじみ(真樹サイド)~手のかかる転校生~


暫く無言が続いて
「真樹んちは、いつから母子家庭に?」


「うち? うちはまだ、離婚調停中だから、完全な母子家庭じゃないの」


「揉めてるの?」


俯き加減に上から見下ろして来て、その表情にドキンとした。


一つ一つの仕草や表情に一々反応するこの心臓をどうにかしたい。


「うん。家のことでね。土地は父名義で、家は父と母名義になってるしさ。そこのとこが上手く行かないみたい。その上住宅ローンは父名義。詳しくはよく分からないんだけどね」


「うちはすんなり別れたけどね。ってそうさせたのは俺なんだけどね」


「え?」



「親父に別の人との間に子供が出来たんだ。信じられる?」


そう聞かれて首を横に振ることしか出来なかった。


 「それで、金の掛るT学園を辞めて、母方の実家に引っ越してきたんだ。 あの人には一銭の援助も受けたくなくてさ。高校は、この地域の野球の名門校を調べて、そこのスポーツ優待生目指そうかと思ってる」


そう語った光輝の口は一文字に結ばれていて、野球への真剣さが伝わって来た。


凡人ではない筈だと思った。


この中学の野球部員たちが持ち合わすことのない確固たるものが感じられた。


「そう……光輝は凄いね」


そして、わたしはこの時から、光輝のこれからの成長をただ、男とか、好きな人とか、そんなことではなく、一人の才能を持った人間として、見届けて行きたいと思った。


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