初めては幼なじみ(真樹サイド)~手のかかる転校生~


彼の肩から漲るオーラと言うか、隙が無いと言うか、凡人が持ちあわすことのない何かを彼は持っていた。


「青木光輝君は、他県からの転校だ。野球部なら知っていると思うが、あの有名なT学園のピッチャーだったらしい。野球部顧問の吉沢先生は朝から興奮しっぱなしだ。もう、朝からプロ野球のドラフト会議で一番くじ引いたみたいな、はしゃぎようだったんだぞ」


担任のそんな冗談に、まるでマウンドの上に立っているような緊張した面持ちだった青木光輝が、照れた顔でニコリと微笑みながら
「先生。それ、かなり大げさです。プロなんかと比べられたら恥ずかしくて
明日から学校に来られなくなりますよ」


多分……


この彼の笑った顔に、クラスの女子十七人中八人はノックアウトされたはず。


緊張している時の顔と、笑った時の顔のギャップがあり過ぎで、一瞬で、女子のハートを鷲掴みにしたように思えた。


秒殺ってこと?


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