フラワーデイズ

 頭の中でイメージを固めると、私はたくさんの切り花が入れられている冷蔵ケースの扉に手をかけた。
 あぁガラスが指紋だらけだから明日は磨かなきゃ、なんて一瞬思い出しながら、ぐるりとその花たちを見渡してみる。

 バラ、かすみそう、ガーベラ、ラナンキュラス、百合。スプレーのカーネーションにデルフィニウム。それに数種類のグリーンたち。
 閉店間際とはいえ冷蔵ケースの中には色とりどりの花が並び、その香りにあふれている。

 予算はなし。
 いくらかけてもいい。
 こんな機会そうそうあるものじゃない。
 古いドラマでバーカウンターの客が注文するみたいな「自分のイメージで」なんて奇妙な注文だけど、冷静に考えてみると、花屋にとってはありがたい貴重な客には違いなかった。

 よし!やるか。

 心の中でそう呟いてリアルに腕まくりをしながら(作業するときは袖口が邪魔になるのだ)私は最初の花に手を伸ばした。
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