フラワーデイズ


 どんなに派手なイメージで作ろうとしても予算が限られていればボリュームで勝負はできない。となればリーズナブルな花でいかに派手に見せるかということで色の選び方が変わってくるのだ。逆に言えば予算に自由が利くのなら選択肢は広がって作りやすくなる。

「いくらでもいいよ。君に任せる。好きに作ってみてよ」
「いくらでもって・・・1万円とかでも大丈夫ですか」

 遠慮がちに尋ねるとその客は人差し指をつきだして左右に揺らしながら笑った。

「いくらでもって言ったでしょ。5万でも10万でも20万でもいいから、正直に君が思った僕のイメージで作ってよ」

 20万の花束なんて聞いたことがない。よほど珍しく高価な花でも選ばない限り、どんなに派手に大きく作っても10万円台がせいぜいだ。少なくともこの店にある花材ではそれ以上のものは作れない。

「本当にいいんですか」

 冷蔵ケースの中の品揃えを確かめながら、私はもう一度客の顔を見た。
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