フラワーデイズ
 実は目の前の客が入ってきたときに、私は一瞬そんな気がしたのだ。
 つまりは誰かが亡くなってその人への花を買いにきたんじゃないのかって。これは明確な理由なんてない単なる直感にすぎないんだけど、だから私がイメージの花束といわれて選んだのは、白い花ばかりになった。

「へぇ・・・」


 しばらく表情を変えず、けれど興味深そうにそれを眺めていた客はやがて、にっこりと笑った。

「おもしろいね」
「え?」

 文句を言われるかもしれない、と思っていた私は拍子抜けしながらまっすぐに客をみてしまった。

「もしかしてキミ、テレビとかみない人でしょ」

 尋ねながらも確信に満ちた言葉に私は渋々うなずいた。
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