フラワーデイズ
「ラッピング代も含めて1万2千円になります」
「そんなもんなんだ。結構きれいなのに安いんだね」
そう言いながら客は金額ちょうどの現金をトレイへと乗せた。
レジにそれを打ち込んで吐き出されるレシートをちぎる。
「こちら、レシートのお返しになります」
「ねぇ、君。名前なんていうの?」
思わずにらみつけるようになってしまったのは、それまでがあまりにも怪しかったから仕方ないと思う。
私が無言でいると、客は誤解を解くように付け加えた。
「君のセンスが気に入ったから、もし次に頼むときは君を指名したいと思ってね。ここに電話すればいいんだろ」
レシートに印字された店の電話番号を指さしながら言われて私は仕方なく名乗る。
「椎名といいいます」
「椎名、何チャン?」
「名前は必要ないと思います」
「いいじゃない、減るもんじゃないし。ねえ」
「…有希、です」
「ユウキちゃんね。僕は、ケイ、水上ケイ(みずかみけい)。じゃあこれ、ありがとね。また来るよ」
そうして変わった客は帰っていった。
「そんなもんなんだ。結構きれいなのに安いんだね」
そう言いながら客は金額ちょうどの現金をトレイへと乗せた。
レジにそれを打ち込んで吐き出されるレシートをちぎる。
「こちら、レシートのお返しになります」
「ねぇ、君。名前なんていうの?」
思わずにらみつけるようになってしまったのは、それまでがあまりにも怪しかったから仕方ないと思う。
私が無言でいると、客は誤解を解くように付け加えた。
「君のセンスが気に入ったから、もし次に頼むときは君を指名したいと思ってね。ここに電話すればいいんだろ」
レシートに印字された店の電話番号を指さしながら言われて私は仕方なく名乗る。
「椎名といいいます」
「椎名、何チャン?」
「名前は必要ないと思います」
「いいじゃない、減るもんじゃないし。ねえ」
「…有希、です」
「ユウキちゃんね。僕は、ケイ、水上ケイ(みずかみけい)。じゃあこれ、ありがとね。また来るよ」
そうして変わった客は帰っていった。