フラワーデイズ
「まだ、決めてなくて」
「そっか。うちとしてはフルで入ってくれるのはありがたいけど、復学する気になったらいつでも言ってよ。ちゃんとユウキちゃんが困らないようにシフト組むから」
「はい。ありがとうございます」
私は表向きはフリーターだ。
表向き、というか実質はどこからどう見てもフリーターだった。
誰よりも早く店に来て、誰よりも長く働いてる独身のアルバイト。私が店に長くいるのは家にいてもすることがないからで、店にいると自分の居場所があるって安心できるからだ。
「でもそろそろ期限なんじゃないかい?僕はよく知らないけど来年のこと決めないといけないんだろ」
「えぇまぁ。でもなんか踏ん切りつかなくて。仕事楽しいし、花好きだし。戻る理由みたいなものが見つからなくて」
「それはダメだよ。親御さんだって戻るって信じてるから今の生活も許してくれたんだろう。なら、ずるずるしてるのはよくないよ。あせる必要はないけどきちんとけじめつけて考えないと」
「そうですね」
にっこりと貼り付ける笑顔は営業用だ。
これはいつのまにか身に着けた仮面みたいなもので、気づけばスイッチ一つで完璧な笑顔になれるようになっていた。
そこへタイミングよく別の客がやってきた。両手に大きな鉢植えを抱えている。私は慌ててカウンターを出る。