フラワーデイズ
あまりに的外れな質問に私は一瞬目をパチパチさせてしまった。花屋で花束を作らなければ何を売ってると思ってるんだろうか。
「ご希望の花とか好きな色、あとはご予算を言っていただければお作りします」
「ふぅーん。君が作るんだ」
そういいながらその客はほかのスタッフが誰もいないことを確かめているようだった。
「私以外は出払っていますので。何かお作りしますか」
「じゃあ、僕のイメージに合う花束ってのはどう?」
まるでゲームを楽しむようにその客はにっこりと笑いながら言った。
それはさっきの顔とは違う完璧な笑顔だ。
切れ長の目にすっとした鼻筋、配置の良いパーツにシャープな輪郭。そうして初めてすごいハンサムなのかもしれないと気づいた。きっと、この人が花束を抱えて迎えに来たら、どんな女性だって心を動かされてしまうに違いない。そんな笑顔だ。
「お客様のイメージ、ですか」
もう何年も働いているけど、そんな注文は初めてだった。