誠の桜に止まる蝶~番外編~
そしてしばらく寄り添って桜を見ていた。

「左之さん、私もう少しで帰らなきゃいけないけど、また戻ってくるから。だから、待っててくれる?」

「ああ。いつまでも待ってるさ。それにもう俺はなにがあっても、お前を離してやることなんてできねえからな?」

「うん。離しちゃいやだよ?」

「ああ。当り前だ。」

そうして俺らはまた口づけを交わす。

今度は力が入りすぎないように、壊れないようにそっと抱きしめる。

「もう夜も遅い。屯所に帰るか。」

「うん。屯所に帰ったら歳三立ってたりして(笑)」

「いや、いくら過保護な土方さんでもそれはねえだろ。」

「どうかな?」

そう言って私は苦笑いをこぼす。

そして二人でゆっくりと歩き出す。

もうすこしで屯所についてしまう。

「ほら、いたよやっぱり。」

私はそう言って笑い出した。

屯所の門の所には歳三だけではなく、蝶、総司、一君、平助、新八という幹部がずらりと待っていた。

みんなの顔は少し心配そうにあたりを見渡してる。

「うわあ、全員いやがるじゃねえかよ・・・」

原田さんが驚きに満ち溢れた顔で門を凝視する。

「あっ!沙織と左之さんが帰ってきたぞ!!!」

平助の言葉にみんなが一斉にこっちを向く。

「てめえらっ!!どこに行ってやがったんだよ!!心配したじゃねえか!!」

歳三が怒りながら近づいてくる。

「あはは。歳三過保護~!!」

私は笑いながら歳三に近づく。


「ありがとう。」

そしてそっと耳元でささやく。

歳三は驚いたようにこちらを見る。

「お前、知ってたのか?俺が原田に話したの。」

「ばあか。聞こえてたよ。」

「うるせえな。」

「でも、本当に感謝してる。」

そう言ってにっこりと微笑む。
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