Dummy Lover


「な、何…?」

「え?」

「いや、片付けないと…、帰れないよ?」


私の方に体を向け、作業をしようとしない白谷に私は言った。
そして、自分はとにかく手を動かして、作業を続ける。

顔がかなりひきつってるはず。
だって、どう接したら良いのか、全くもって分からない。




「羽月さんは?」

「へっ!?」


予想外にも聞き返されてしまって、声が少し裏返る。
続けていた作業も、自然にストップしてしまう。


「羽月さんは、僕と一緒に資料室整理するの嫌?」

「え…」




何言ってるの、白谷泉。
ちょっと自意識過剰なんじゃないの?

それじゃあ、まるで、『僕といたいでしょ?』って、言ってるみたい。




私は、何も出来ずに固まってしまった。

世の中には、こんな奴もいるんだ、と思い。
それと同時に、もっと違う深い意味で言ってるのだろうか、と頭の中でハイスピードで考える。




「どうしたの、羽月さん」

「え、あ…、何でもない!それより早くやろ!」


私はそう言って、また作業に戻ろうとする。

もう話したくない。
調子狂って、本性が出てしまいそうになる。


< 17 / 78 >

この作品をシェア

pagetop