キズナ~私たちを繋ぐもの~

兄と彼女


 バスの中で、私を正気に戻したのは電話の着信音だった。

聞きなれた音にびくりとしてカバンを開けると、電話ではなくメールだった。
差出人は司。

その内容を見るのが怖くて、何も確認しないまま携帯電話の電源を切った。


 気がつけば車内の中はもう閑散としていて、アナウンスは終点を告げている。
バスが停車したのは駅前だった。


「……どうしよう」


とりあえず、バスを降りてみるもどこに行ったらいいかわからない。

兄は家にいるだろうか。
問いただされるかと思うと家にも戻りづらい。

呆けたままあたりを見回して、最近ではあまり見かけない公衆電話を見つける。


< 112 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop