キズナ~私たちを繋ぐもの~


それ以上なんて言ったらいいのか分からなかった。

司の申し出はありがたくて。
だけど本当にそれでいいのか分からない。

でも確かに、二人きりのあの家で、兄と今までのように生活できるのかと言われたら、それは不可能に近い。


「……」

「考えてみて」

「……うん」


結局私は頷いた。
肯定のつもりではなく、保留のつもりで。


「じゃあ、朝飯食べたら荷物を取りに行こう?」


けれども彼はそれを、肯定にとらえたらしい。
すぐに否定しようと思えばできたはずなのに、私はなぜだか出来なかった。


冷蔵庫にあった卵で目玉焼きを焼いて。
トーストにバターを塗って焼く。
お湯を沸かしてカップスープを溶かす。

簡単な朝食の出来上がり。

自分の家はいつも朝は和食だったから、少しだけ不思議な気分になる。

司はテレビを見ながら、適当な話題を探しだしては私を笑わせてくれる。

それはすごく楽チンで。
この人といると、私は余計な事を考えなくて済む。

だからいつも甘えてしまう。

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