キズナ~私たちを繋ぐもの~


「お前は、いいのか。それで」


その言葉に、泣きたくなるのはずるい。

表情が崩れないように、必死で顔の筋肉に力を込めた。


もう、忘れるの。

お兄ちゃんの妹でいる。

それがきっと一番いいんだ。


「お兄ちゃん」

「……なんだ」

「お母さんの余命1ヶ月って、本当なの?」


兄が私を見る。
傷ついたような顔で。

どうしてだろう。
その顔をみてると、とても胸が痛い。


「……本当だ」

「そう」

「母さんは、体もそうなんだが……大分前から心の方を病んでる。
最近特にふさぎこんだ事ばかり言うから、無理にお前に会わせると、却って辛いかと思っていた。
言わなきゃいけないのは分かってたんだが、……すまん、言えなかった」

「うん。……ううん。お兄ちゃんが、私の事心配してくれたのは分かってる」

「綾乃」

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