キズナ~私たちを繋ぐもの~


「……ありがとう」


伝える相手がいなくなってから、おもむろにお礼を口ずさむ。

嬉しいと、思ってしまう。
胸の奥で、温かい何かが広がっていくのが止められない。

駄目。
この気持ちを、自覚したくない。

昨日の唇の感触を不意に思い出して、忘れようと頭を振る。


「こんなの……なんで買ったりすんのよ」


誕生日を一緒に祝うのなんて、もう随分前からしてないのに。

胸打つ動悸が嫌だ。
考えたくない。
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