キズナ~私たちを繋ぐもの~


「今ね。ママはお話があるんだって。サユはここですこしあそんでてね、って」

「そうなの」

「うん。だからね。ヒマなの」


サユちゃんは、小石を足でけった。

つまらなそうな横顔は、なんだか昔の私みたい。

やっぱり子供の頃、誰とも遊ばない日は、兄が帰ってくるまでこうして一人で遊んでいたっけ。


「おじちゃん、サユのパパになってくれればいいのにな」


サユちゃんが、ポツリと言った。
その小さな言葉は、ナイフのような鋭さで私の胸に突き刺さる。


「……サユちゃん」

「パパ、いないんだ。もうサユ覚えてない。
あのねぇ。サトル君ちのパパは優しいんだよ。一緒にやきゅうとかするんだって。……サユもパパと遊びたい。ママ、おしごとばっかりだもん」

「……」

「でも、サユにはパパがいないから。つまんないの。……でもそれをママに言うとね、すごくかなしそうだから言えないの」

「サユちゃん」

「でもサユ、さびしい」

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