キズナ~私たちを繋ぐもの~


理屈では分かっている。
分かっているのに、私はそれを、今でも言えていない。

甘ったれで、情けないままの私。

こんな歳になってまで、兄を失うのが怖い。

彼と離れるのが、何よりも怖いんだ……。


 写真が窓から差し込む日光に反射してキラッと光った。
そこでようやく正気に返り、溜息を一つついて、写真立てを伏せた。

兄をいつまでも縛り付けている私は、なんてずるいのだろうと思う。

……だけど。

先ほどもらったばかりのピアスが掌の上で転がっている。

キュッと握りしめると針先が当たって痛い。

もっと痛ければいい。
私を責めてくれたらいい。


「それでもいいから……」


呟いて、泣きたくなる。

昨日のキスで溢れだした感情が、もう消せない。

離れたくなかった。
責められてもなじられてもいいから傍にいたかった。

それは、ただ兄が頼りになるからと言うだけじゃなく。
私が彼の事を好きだからだ。

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