キズナ~私たちを繋ぐもの~
「もう寝る」
「綾乃」
「お兄ちゃんのバカ」
「おい!」
私は兄から目をそらして、大げさに襖を強く引いた。
ドンと言う強い音で、兄の呼びかけを遮る。
分かってる。
兄の言う事は正しい。
司は私の気持ちに気づいていてさえ、私を想ってくれてるんだ。
彼を手放すなんて、どうかしている。
それに、
『お前に幸せになってもらいたい』なんて、兄としての最高の言葉に、
こんな風に傷ついている私の方がおかしい。
せめて伝えられる相手だったらよかったのに。
気持ちを伝えて、ごめんなさいで振られて終われる相手だったらよかった。
誰よりも私を想ってくれて、優しい言葉をかけてくれて。
そんな兄を嫌いになれる訳もない。