琥珀色の誘惑 ―王国編―
「ちょっと! 正妃様のお庭に足を踏み入れようなんて、恐れ多いこと。ヌール殿の教育が足りていないようですわねっ」


(で、出た!)


舞が振り返ると、もの凄く綺麗に着飾った樽……いや、ハディージャ妃が般若の形相で、近づいてきた。

舞は慌てて小声で女官に尋ねる。


「ここがもうハディージャ様のお庭とか?」

「チガイマス。……チュウカンデス」


庭と庭の間、どうやら緩衝地帯らしい。舞はホッと息を吐いた。


「正妃様のお庭に、外国人のお前が立ち入れる訳がないでしょう! 無知で愚かな女はこれだから……」


一応、すみません、と謝ってすぐに立ち去るつもりだったのだ。だが、あまりの言われように舞もカチンと来る。


< 153 / 507 >

この作品をシェア

pagetop