琥珀色の誘惑 ―王国編―
【砂漠編】
(1)砂漠にかかる月
見上げれば、一面に星が煌き、天空高く三日月が浮かんでいた。
儚げな月明かりの中、闇を纏った風が砂漠の砂を波のように揺らす。そこから三六〇度、見渡す限り同じ光景が広がり……大地はやがて砂粒となり、空白の領域を増やして行く。
あと数時間で日が昇る。
太陽の光を受け、辺りは再び灼熱の砂漠へと姿を変える。
クアルン王国南部の大部分を占め、四ヵ国に跨るアブル砂漠。
彼の居る場所は、周辺都市からほんの数キロメートル踏み込んだだけの、砂漠の縁に過ぎなかった。
儚げな月明かりの中、闇を纏った風が砂漠の砂を波のように揺らす。そこから三六〇度、見渡す限り同じ光景が広がり……大地はやがて砂粒となり、空白の領域を増やして行く。
あと数時間で日が昇る。
太陽の光を受け、辺りは再び灼熱の砂漠へと姿を変える。
クアルン王国南部の大部分を占め、四ヵ国に跨るアブル砂漠。
彼の居る場所は、周辺都市からほんの数キロメートル踏み込んだだけの、砂漠の縁に過ぎなかった。