琥珀色の誘惑 ―王国編―
上弦の月が天空に浮かぶ。
砂漠の夜は静寂に満ちていて、月も星も生き生きと輝いて見える。ここには彼らの瞬きを邪魔する、人工光がないことを知っているみたいだ。星たちもやけに嬉しそうだった。
……などと、呑気に空を見上げて感動している場合ではない。
砂漠で過ごす初めての夜、そんな舞の隣にいるのは婚約者のミシュアル王子ではない。
彫りの深い顔立ちと、ベージュと金の中間色でサラサラの髪をした、シーク・ヤイーシュ。
「ちょっと待ってよ! 何でそうなるわけ?」
ヤイーシュの個室とも言うべきテントは、当然のように寝台もひとつ。周囲には恋人のように話しているので、舞がここで休むのは普通のことだという。
食事が終わると、それまでテントの入り口で控えていた女性もいなくなってしまい……。
ヤイーシュは、舞に寝台で寝るように言い、彼はテントの外にいると言うのだ。他のテントで眠ると嘘がバレ、舞の身が危険だ、と。
「だったら、わたしが外に行くわ! ここは、ヤイーシュにテントなんだから」
そう言って表に出ようとした時、目に入ったのがさっきの星空だった。
砂漠の夜は静寂に満ちていて、月も星も生き生きと輝いて見える。ここには彼らの瞬きを邪魔する、人工光がないことを知っているみたいだ。星たちもやけに嬉しそうだった。
……などと、呑気に空を見上げて感動している場合ではない。
砂漠で過ごす初めての夜、そんな舞の隣にいるのは婚約者のミシュアル王子ではない。
彫りの深い顔立ちと、ベージュと金の中間色でサラサラの髪をした、シーク・ヤイーシュ。
「ちょっと待ってよ! 何でそうなるわけ?」
ヤイーシュの個室とも言うべきテントは、当然のように寝台もひとつ。周囲には恋人のように話しているので、舞がここで休むのは普通のことだという。
食事が終わると、それまでテントの入り口で控えていた女性もいなくなってしまい……。
ヤイーシュは、舞に寝台で寝るように言い、彼はテントの外にいると言うのだ。他のテントで眠ると嘘がバレ、舞の身が危険だ、と。
「だったら、わたしが外に行くわ! ここは、ヤイーシュにテントなんだから」
そう言って表に出ようとした時、目に入ったのがさっきの星空だった。