琥珀色の誘惑 ―王国編―
「思うけど……やっちゃ駄目よ。試されたり、嘘をつかれたりしたら、傷つくんだからねっ! 聞きたいことがあるなら、アルに直接聞くわ。アルに誠実で居て欲しいから、わたしも真正面からぶち当たってみる。駄目なら日本に帰るって言う」


ヤイーシュは舞の台詞を鼻で笑うと、言い返してきた。


「それで第一夫人になれると思い込まされ、クアルンまで連れて来られたのでは?」

「そっ、それは、そう……だけど。でも、わたしはヤイーシュのモノじゃないわよ」

「あなたは、良く言えば素直、悪く言えば単純だ」


その言葉に舞もカチンとくる。

どう考えても、ヤイーシュが自分に恋い焦がれている、とは想像出来ない。


「ねぇ、ヤイーシュ、本当に……」


尋ねようとした舞の言葉を制し、「そこまでです」と言って彼は立ち上がる。


「あなたの純潔を奪った証拠を突きつけ、殿下にはお引取り願いましょう。私は本気ですよ……舞様」


そう言うと、ヤイーシュは護衛と称してふたりの屈強な男をテントに入れた。


「舞様、大声を出したら……」


< 237 / 507 >

この作品をシェア

pagetop