琥珀色の誘惑 ―王国編―
「ん。すっごく綺麗。今度はやっぱり、アルと一緒に砂漠の夜を過ごしたいなぁ」

「……それは、ヤイーシュより、と言う意味か?」


自分の庭を自慢するかのようなミシュアル王子の声が、不意に凍りつく。

舞はハッとして振り返ると、応急処置で肩に包帯を巻いただけのミシュアル王子が隣に座っていた。とても怪我人とは思えない、鋭い眼差しを舞に向ける。


「言っとくけど、ヤイーシュとふたりにはなってないからね。女の人が最低でもひとりは居たし……ヤイーシュなんて一晩中表に立っててくれたんだからっ」


ちょっとだけふたりで話したことは内緒だ、服を切られた時、下着姿を見られたことも……。

全部話せば、ミシュアル王子のことである。ヘリを戻せと言い始めて、ヤイーシュに再び決闘とか申し込みかねない。


「当たり前であろう。主君の妻となる女だぞ。それに……もし、ヤイーシュがお前を妻としていたなら、奴はあのまま剣を振り下ろしたはずだ」

「ヤイーシュはアルを裏切ったりしないわ! た、たぶん」


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