琥珀色の誘惑 ―王国編―

(18)傷だらけの恋でも

叫び声の主はターヒルのようだ。


「舞、お前はこの部屋から動いてはいけな……舞っ!」


舞をこれ以上危険に巻き込みたくない――そんなミシュアル王子の気持ちは舞にもわかった。

だが、その時にはすでに、彼女はドアの外に飛び出していた。背後でミシュアル王子が「戻れ!」と怒鳴っている。舞はそれを無視して廊下を駆け抜け、階段に足を掛けた。


「タ、ターヒル……何やってるの?」


階段のちょうど踊り場で、ターヒルが壁に寄り掛かりうずくまっている。

舞のすぐ後に追いついたミシュアル王子も、同じ質問をした。


「ターヒル、お前は何をしているのだ? ライラはどうしたっ!?」

「も、申し訳……ございません。ライラ様が写真を落とされ、私が代わって拾おうとした直後に……その……」


どうやら、舞の必殺技をライラも繰り出したらしい。……ターヒルは涙目になっている。


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